スペースXのイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)は本日、先月のファルコン9ロケットの打ち上げ直後の爆発は、ヘリウムガスの容器を固定していた鋼鉄製の支柱の破損が原因と思われると述べた。しかし、国際宇宙ステーション行きの同ロケットに搭載されていたドラゴンカプセルは、パラシュートを展開するようソフトウェアがプログラムされていれば、おそらく生き残っていただろう。 6月28日の爆発は、昨年10月以来3度目のISS補給ミッションの失敗となり、7年間完璧な安全記録を残してきたスペースXにとって大きな打撃となった。ロケットと貨物カプセルからのデータから、スペースXのサードパーティサプライヤーが作った支柱に致命的な欠陥がある可能性が明らかになった。同社は将来のロケットでは支柱を交換する予定だ。一方、現在進行中の調査とロケットのアップグレードは、ファルコン9とその後継機であるファルコンヘビーの遅延を招くだろうとマスク氏は語った。 「ロケットが根本的に難しいものであることを示しているだけだ。一般的に、何かについて慣用表現がある場合、そこには理由がある」と同氏は記者との電話会議で述べた。同社はその後、ウェブサイトで最新情報を掲載した。 ファルコン9ロケットは液体酸素を推進剤として使用し、燃料タンクにはヘリウムが充填されており、燃料が燃焼している間タンク内の圧力が維持される。ヘリウム容器を固定する2フィートの支柱は1万ポンドの力に耐えられるように設計されているが、6月28日、わずか2千ポンドの力で1本が破損したとマスク氏は述べた。ロケットが急上昇すると、離陸時の浮力で容器はロケットの上段のタンク上部に飛ばされた。これによりヘリウムが酸素タンクに噴出し、タンクが過圧になった。このすべてが約9分の1秒以内に起きた。 ロケットは分解し、ドラゴンの貨物カプセルは宇宙ステーションの乗組員のための物資と実験を4,000ポンド積んで海に墜落した。しかし、ドラゴンがパラシュートを展開していれば生き残っていたかもしれないとマスク氏は語った。地平線の彼方に消えるまで、地上と通信していたと同氏は語った。 ドラゴン2号は、最終的には宇宙船の乗組員を軌道に乗せる次世代バージョンで、故障したロケットから離脱するための緊急停止スラスタを搭載している。また、ロケットから分離する際にパラシュートを展開するようドラゴンに指示するソフトウェアも搭載されている。しかし、現在飛行しているバージョンには、このスラスタもそのソフトウェアも搭載されていないとマスク氏は語った。 「私たちが決めたことの一つは、ドラゴン2号用のソフトウェアをドラゴン1号に進化させることです。そうすれば、将来このようなことが起こっても、宇宙船は自らを救うことができるのです」と彼は語った。 スペースXはドラゴンの残骸を探すため、自律型水中探査機を送り込んでいる。これはエンジニアたちが何が起こったのかをより深く知るのに役立つかもしれない。スペースXのエンジニアたち、そしてNASAと空軍は、3,000以上のデータソースからのテレメトリを精査しているところだ。同社はまた、サプライヤーのデータに頼るのではなく、ストラットを交換する計画も立てており、打ち上げ前にすべてテストする予定だとマスク氏は語った。 6月28日の事故は、ISSへの貨物輸送、そして最終的には宇宙飛行士輸送の契約を持つスペースXにとって7年ぶりの汚点となった。この失敗は同社の商業乗員輸送計画への入札には影響しないが、ファルコン・ヘビーの初打ち上げは来春まで延期されるとマスク氏は述べた。 長年の成功の後、スペースXには自己満足感が広がっていた。マスク氏は、長年の成功を経て、スペースXには慢心感が広がっていると付け加えた。同氏は、毎回の打ち上げ前に、延期の理由が思い浮かぶ人はいないか、もし思い浮かんだら携帯電話に電話するかメールを送るよう、全社にメールを送っていると語った。 「しかし、このメールを20回送ると、『またイーロンが被害妄想を抱いた』としか思えない。以前ほどの反響はないのかもしれない」と同氏は言う。「だが、今では社内の全員がロケットを軌道に乗せるのがいかに難しいか理解していると思うし、そのおかげで我々はより強くなると思う」 |
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