NASA の探査車「パーセベランス」が撮影した、ぎょろ目ジャガイモ日食

NASA の探査車「パーセベランス」が撮影した、ぎょろ目ジャガイモ日食

フォボスはのろまな衛星ではありません。大きさ、角度、軌道パターンから判断すると、月はおよそ 7.6 時間ごとに火星の周りを一周します。この頻度により、地球の日食に比べて太陽の前を通過する可能性がはるかに高くなります。火星で適切な場所に適切な時間にいたと仮定すると、小さなジャガイモ型の衛星が太陽を巨大な動く目に変えるのを垣間見ることができます。NASA の火星探査機パーサヴィアランスは 2 月にまさにそのような現象を捉え、わずか 7 か月後に別の日食を撮影することに成功しました。

NASA は最近、火星のジェゼロクレーターにある探査機の視点から 9 月 30 日に観測された最新のフォボス日食を公開しました。今回も、この動く目の寿命はわずか 30 秒で、それに比べると地球の数分にわたる日食は長く感じられます。前回の記録と同様に、フォボスの映像はアリゾナ州立大学が共同設計し、監督した機器であるパー​​セベランスの Mastcam-Z を使用して撮影されました。

天文学者のアサフ・ホールは1877年に火星の2つの衛星を発見し、ギリシャ神話の恐怖と戦慄の双子神にちなんでフォボスとデイモスと名付けた。その起源はまだ不明だが、専門家は火星の重力に捕らえられた小惑星か、太陽系の形成時に残った残骸のどちらかであると推測している。

[関連:火星の日食により太陽が巨大な動く目に変わる]

幅わずか17マイルのフォボスは、地球の月の約157分の1の大きさだが、どちらもゆっくりと反対方向に移動している。月は現在、1年に約1.5インチの割合で地球から遠ざかっているが、フォボスとダイモスはどちらも1世紀ごとに推定6フィートずつ火星に近づいている。このペースでいくと、これらの衛星は約5000万年後にホスト惑星に衝突するか、無数の小さな破片に分裂して土星のようなリングを形成すると予測されている。

しかし、それまでには、パーセベランス、そしておそらくいつの日か、人間の訪問者が、動く目で記録する機会がまだまだたくさんあるだろう。

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